リスキリングを追いかけて「使い捨て人材」にならないように、知っておくべきこと《前編》【大竹稽】 |BEST TiMES(ベストタイムズ)

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リスキリングを追いかけて「使い捨て人材」にならないように、知っておくべきこと《前編》【大竹稽】

〜デジタルは「ないと困る」思考の「知識だけ」人間を製造し使役する〜

 

◾️「姥捨山」行きが怖くてリスキリングしている人間が捨てられる日

 

 「新しいスキル獲得によるデジタルへのキャッチアップ」。なんとまぁ、見栄えのいいキラキラフレーズでしょう。それに誘引されるのもあなたの選択。距離を取るのもあなたの選択。群衆の動きを観察して問題を分析するのも、いいでしょう。リスキリングが重要だという意見も、百パーセント否定しません。しかし、その眩さによって視力を奪われていたら、行き着く際に待っているのは惨たらしく過酷な状況かもしれない。これだけは想像しておきましょうね。人間であるうちに。

 デジタルによって姥捨山行きが決定される自分がいるかもしれません。すでに「リスキリング」なんかが跋扈している今現在、デジタルによって使役される知識しかない人間が増産されていることに、気づいていますか?「すぐに役に立つ」を標榜する知識には、必ず賞味期限があるのです。すぐに使えなくなります。まるで毎年新しくされる商品のように。「新しい」しか見えない人は、早晩、「新しくない」人として賞味期限切れになるでしょう。それを決めるのは、上司でも同僚でも家族でも師匠でもなく、血の通わないAIです。

 リスキリングに賭けるよりも、賭けるべき別の何かはたくさんあるんですけど、自分で探さない人たちが多いんですよねぇ。

【後編につづく】

 

文:大竹稽

 

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大竹稽

おおたけ けい

教育者、哲学者

株式会社禅鯤館 代表取締役
産経子供ニュース編集顧問

 

1970年愛知県生まれ。1989年名古屋大学医学部入学・退学。1990年慶應義塾大学医学部入学・退学。1991年には東京大学理科三類に入学するも、医学に疑問を感じ退学。2007年学習院大学フランス語圏文化学科入学・首席卒業。その後、私塾を始める。現場で授かった問題を練磨するために、再び東大に入学し、2011年東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程入学・修士課程修了(学術修士)。その後、博士後期課程入学・中退。博士課程退学後はフランス思想を研究しながら、禅の実践を始め、共生問題と死の問題に挑んでいる。

 

専門はサルトル、ガブリエル・マルセルら実存の思想家、モンテーニュやパスカルらのモラリスト。2015年に東京港区三田の龍源寺で「てらてつ(お寺で哲学する)」を開始。現在は、てらてつ活動を全国に展開している。小学生からお年寄りまで老若男女が一堂に会して、肩書き不問の対話ができる場として好評を博している。著書に『哲学者に学ぶ、問題解決のための視点のカタログ』(共著:中央経済社)、『60分でわかるカミュのペスト』(あさ出版)、『自分で考える力を育てる10歳からのこども哲学 ツッコミ!日本むかし話(自由国民社)など。編訳書に『超訳モンテーニュ 中庸の教え』『賢者の智慧の書』(ともにディスカヴァー・トゥエンティワン)など。僧侶と共同で作った本として『つながる仏教』(ポプラ社)、『めんどうな心が楽になる』(牧野出版)など。哲学の活動は、三田や鎌倉での哲学教室(てらてつ)、教育者としての活動は学習塾(思考塾)や、三田や鎌倉での作文教室(作文堂)。

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